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2016年10月22日 (土)

二親じゃダメなんですか?(P5モンペ編)

「怪盗団も狙うなら極東の島国じゃなくて、もっとビッグでグローバルなトコにしなさいよ。」
「そうねェ・・・、それこそベガスのカジノタウンとか・・・」

 英語教師、ナイスなつっこみですねえ。まったくその通りなんですけど。つっても「邪悪」のレヴェルがワールドワイドではまるで違いますけど。 

 「塔」のコープ、ようやくマックス。これは「二挺じゃダメ」にするんだろうか、とずっと思ってたんですが、マックスアウトしてみて考えを変えました。
 あのガキ・・・、キングのネタ自体は、モンスター・ペアレントもののクリシエ、面白くないので、今回は登場人物の親に関する話題にします。

 「親なし症候群」(Parental Abandonment)は、有名な「TVトロウプ」(TV Tropes)、TVドラマの物語に頻出する「お約束」の一種です。物語の主人公をはじめ、登場人物たちの実に多くが、両親の両方または片方をなんらかの理由で欠いていると言われます(両親が健在であって、単に精神的に、あるいは物理的に距離があるだけであれば、「親の無関心」(Parental Neglect)に分類されるようですが)。 

 古典的な物語を中心に、主人公が親を欠いていること自体がプロットを駆動する、物語になくてはならない要因の場合(例えば「シンデレラ」、「小公女」、「母を尋ねて三千里」、「ハリー・ポッター」など)、プロットに必須ではないが、主人公が精神的な支柱を欠いていること(家父長制などの社会制度が生んだ一種の悪しき一般化、先入観ではあります)がインプライされている場合(例えば「オズの魔法使い」(育ての親は叔父と叔母夫妻)、「ネヴァーエンディング・ストーリー」(父子家庭))もありますが、そうでない限り、(そしてラノベ、コミック、アニメ、ゲームなどの物語の場合)理由はごく単純な場合が多い。

 つまり親は「邪魔」なんですね。話がもたもたする。怪盗団が出動する際に、いちいち親に断るなんて馬鹿みたいですし。門限や活動日の制限があったりすると(P5のようにうまく使うならともかく)そんなヒーロー・ヒロインいらんわ、となっちゃうわけで(「女子ーズ」か)。
 ですから、たとえ両親が健在だという設定であっても、「両親は仕事で海外にいる」、「親元を離れて都会で一人暮らし」なんてのが、ラノベやコミックの世界ではもはや定番、実例なんて、誰でもぞろぞろと思いつくことでしょう。 

 妙に記憶に残っているのがアニメ「スラムダンク」(申し訳ないがコミックは読んだことがない)。登場人物の高校生たちの親は、全編にわたり見事なまでに登場しないのです。そもそも物語に必要ないんで、それでよい。ところがただ一か所だけ、主人公の父親がごく短いシーンで描かれるところがあります。「あー、やっちまったな」と思った。あそこで「父親の絵」は、端的にいらない。上手の手から水が漏れたというか、あの一か所は本当に余計だった。どうしてあんなことになっちゃったのか、ほぼほぼ完ぺきな物語だったのに、作り手に魔が差したのかなあ、と思っちゃったわけです。

 ただし、この「親は邪魔」という傾向も、社会が変わればまた変わってくるのかもしれない。

 例えば、親が出ない理由のうち上で書こうとしてやめたものに「おかんは何でも知っている」があります。昭和の時代には、親や親戚の眼を逃れて悪さするってのは結構難しかった。「おかん」はずかずかと子供の部屋に入ってきましたから。今や子供には要塞のような部屋が与えられ、やろうと思えば餓死せずひきこもれちゃうわけで、まったく疎遠な関係のまま生きることはできなくもない。
 逆に、ある世代の親子は「友達感覚」だなんて一時期呼ばれていましたが、また別の意味で親との関係が密接になっていく傾向もありそうです。

 ペルソナ・シリーズが他のRPGと大きく異なるのは、ペルソナ自体が表す「心理学」的なフレーヴァーもそうなんですが、こうした「家族」とか、「都市」とか、そういった社会的な「関係」の移ろい、「社会学」的な味わいを意図的にぶち込んでくるところにあると思っています。(もちろん「学校」、「裁判」、「監獄」などの「制度」も、交通・通信に代表される「テクノロジー」も、「ポルノ」、「クライム」、「インクルーシビティ」、「フェミニズム」も、「オカルト」まで含めた「儀礼」や「宗教」についても、「社会学」の重要な要素です)
 特に「都市」については、P3の地方都市からはじまり、P4の境界集落(シャッター街)に移って、P5のメガロポリスで極めてしまった感もあるので、また別な記事で考察してみたいんですが、「二番じゃダメ」のタイトルが思いつかん・・・。

 まったく、上述の英語教師ではないが、(周辺部分を含めれば)世界最大の都市まで舞台にしちゃったわけだから、P6をどうしていくのかなんて、他人事ながら難しそうですよね・・・。

 前置きが長くなりましたが、ペルソナ順に挙げていきましょう。P5の登場人物は、驚くほどこのトロウプに当てはまることがお分かりになると思う。
(なお、愚者のペルソナは「鼻」ではなくて主人公のものと考えるのが正しいと思いますので、下のリストはそれに従っています)

 二周プレイしたんで間違いはないと思ってますが、勘違いありましたらご指摘願います。

0:愚者  (主人公)両親健在だが疎遠 ☆
1:魔術師 -(人外)
2:女教皇 両親死別 ☆
3:女帝   両親死別(父親は作中で) ☆ 
4:皇帝   母親は死別(父親は不明?) ☆
5:法王  不明(両親と死別した娘の保護者) ☆
6:恋愛  両親健在だが疎遠 
7:戦車  母親は健在 ☆
8:正義  母親死別、父親は健在だが疎遠 ☆
9:隠者  母親死別(父親は不明) ☆
10:運命 不明だが、いずれにしろ疎遠 ★
11:剛毅 -(人外) 
12:刑死者 不明(孤児であった男子の保護者) ★
13:死神 不明 
14:節制 不明 
15:悪魔 不明 
16:塔   母親は健在だが疎遠 ★
17:星   父親は病床、母親は健在だが疎遠 ★
18:月   不明 
19:太陽  不明 
20:審判  両親死別 ☆

 後半は成人した「おとな」が続きますので、両親は話題にすら出ない者が多い。それ自体は「健全」なことなんでしょうけど、中には「節制」のように「親戚中から電話がかかってきて面倒」のように、古い家族制度に苛まれているものもいます。「運命」のようにおそろしく古い村落制度に縛られていた者もいる。
 
 パーティーメンバー(基本は高校生、またはその年ごろ)だけ見ると、驚くべきことに、両親揃って一緒に生活している者はいない。 親と日常密接な関係にあるのも、どうやら「戦車」くらいしかいない。
 プレイしながら薄々は感じていたのですが、あえて書き出してみると愕然としますね。
 しかも、両親またはいずれかを欠いた者たち、あるいは孤児を引き取った者たちのほとんどすべての「家族関係」が、メインプロットまたはコープのプロットに関係している。上のリストにはメインは☆、コープは★で示しました。「恋愛」以外、全部に印がつくことになりますが、これでよろしいんじゃないかと思います。
 
 ここまで並べると、さすがに「安易」と感じるのが普通なんでしょうけど、P5のプロットは、あまりそう感じない。それは、あたし自体がコミック、ラノベの「親なし症候群」に慣れてしまったせいなのか、はたまた書き手、作り手の見せ方が多彩で上手なのか、それとも、もはや(少なくとも島国では)そういう家族関係の社会が普通に許容されていて違和感を感じないのか。たぶん、答えはそれら理由のミックスなんでしょうけどね。
 

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