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2016年7月 1日 (金)

テン・ミリオン・クラブ

 衝撃的な事実に接し、ここしばらくのところは言葉を喪うどころか、寥寥とした寂寞たる気分に浸っております。
 SkyrimのHD版発売については知っていたのですが、よくよく読んでみると「20百万本売り上げたタイトル」と書いてある。

 なにかの間違いかと思い、Wikipedia(en)を参照してみたところ、実際の売り上げは22百万本以上であった。しかもBethesdaが20百万本を達成したと発表したのは2013年6月、Legendary Edition発売時期であり、オリジナル作品リリース(2011年11月)から2年足らずでの達成であった。
 Fallout4は、Valveによれば、Steamのみの売り上げでも12百万本(リリース後24時間)。コンソールやパッケージ版がその他に追加される。
 2015年5月リリースのThe Witcher 3は、CD Projektによれば2016年3月までにほぼ10百万本を「出荷」したという。

 かつて世界を席巻したMMORPG、WoWの同時サブスクライヴ数は最大12百万アカウント。当時は圧倒的すぎていまいち実感できないうえに、誰もそれを超えることは不可能だろうと思われていた。今や複数のCRPG単一タイトルが、その数字を超える勢いである。コンソールの威力恐るべし。またWoWの「のべ」アカウント数は100百万(ユニーク・ユーザーではない)を超えており、その金字塔もまた揺るがないと思われていたが、MinecraftがPCプラットフォーム単独であっさりパスしてしまった。もっともこちらはリンゴとアップル、じゃねえや、リンゴとオレンジを比べているようなものかもしれない(Minecraftの先を行くのはTetrisのみ)。
 
 EA/BioWareは、いかなる理由か知らないが(想像はできるが)、DAIの販売数を公表していない。リリース直後の出荷数やEAの偉い人たちの発言から推定すると、3百万本-4百万本程度ではないかと思われる。DA2(3百万本未達と推定される)よりは出たが、DAO(EA公表値では、リリース後1年以内に3.2百万本)からさほど伸びていないのではないか、というのが大方の推定だ。なお、Mass Effect 3はリリース月に3.5百万本売り上げた(EA公表値)。

 以前、EAのポートフォリオの記事を書いた際、同社のジャンル別市場シェアのデーターを掲載した。

http://vanitie5.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/rpg-1b14.html

 市場伸び率(市場の拡大程度)が低いところで苦戦しているなら、BCGのいうところの「問題児」(Question Mark)となり、私もそう書いたのだが、ここが見誤っていた。
 CRPGジャンルは大きく「拡大」していた。「固い線」で言えば最大売り上げである22百万ユーザーを獲得していることになる(「固い線」とはすなわちSkyrimユーザー数そのものが市場であって、彼らが他のタイトルも購入していると言う意味)。かなり伸び率の高い市場であったのだ。そこで低シェアに甘んじている場合、BCGによれば「負け犬」(Dog)と呼ばれることになる。
 
 EA/BioWareのCRPGは、典型的な「負け犬」となった。

 なお、売り上げが多いから「内容が良質」、少ないから「不良」ということは一言も言っていない。売り上げと内容の品質(作動上の品質ではない)は基本的に無関係だ。ゲームがアートかどうかも定かではないので、アーティスティックな(芸術的な)出来栄えというのも言いたくない。唯一最大の問題は、商業ゲームも当然銭金の世界なので、パブリッシャーとしてライヴァルたちに大きく差を付けられているのは由々しき事態である、ということだ。「RPGがダメならアクションをつくればいいじゃない」は、まったく冗談でもなんでもないのだ。

 理由は、ファンにはもうおわかりなのだろう。DAやMEの欠点をいくらでもあげつらうことは可能だし、逆に「インクルーシヴィティ」一点だけに、責任をなすりつけることもできるかもしれない。ドナルドの騒動をご覧になればわかるとおり、最大市場のUSでは重大な悪影響を与えている可能性が高い。あるいはEAのものは決して買わないという信念を貫くプレイヤーが多いのかもしれない(考えにくいが)。

 欠点をあげつらうのは簡単だが、むしろどうしてSkyrimは、Fallout4は、TW3は、そしてDiabloIII(リリース後1年後の時点で14.5百万ユニーク・プレイヤーがプレイ)はテン・ミリオン(10百万)クラブ会員で、BioWare作品はそうではないのか、そちらから考えたほうがよさそうである。
(ちなみにFFXIIIは、FFXIII-2と併せてようやく10百万本(コンソール版)であるので、クラブには入っていない)
 
 そして、その答えは意外と簡単に出るのかもしれない。
 ただしTW3については、不肖わたくし2019年10月までクリアを延期する予定なので(笑)、参考にするのはためらわれる。間違っていたらご指摘願いたい。

 簡単な答えとは、平凡な答えでもある。「一言二言でそのゲームを説明できるユニークさ」。つまり「他人への説明が簡単なこと」だ。(TW3については他の人に譲って)、Bethesda作品も、Blizzardも大筋では同じモチーフのゲームをシークエルとして出している。用いるテクノロジーも、細部造り込みも違うが、前の作品を知る者には、「あれとはこう違う」と言えば済む。

 翻ってDAシリーズについては、もはや「迷走中」と言ってしまっても良いかもしれない。DAIに関しては、「20から200時間のプレイ時間」というコンセプトで開発がはじまったそうだが、10百万クラブの資格は、申し訳ないが「オープンワールド」ではないのだ。Modコミュニティでもない。マルチプレイでも、コンテストでもない。DLCの豊富さでもまったくない。(FFシリーズがこれまでこだわってきた、タイトルごとに異なる「斬新な」リアルタイム・バトルシステムでもない)
 そして、どうやらナレイティヴ、「物語」ですらないのかもしれない。
(Modコミュニティについて付け加えるなら、Skyrimの売り上げが10百万本から圧倒的に突出している理由の一部を説明するのかもしれない)

 BioWareには、ゲームとは「アーティステイック」なもの、という勘違いが根底にあるのかもしれないが(その全部を否定はしないが)、テン・ミリオン・クラブ・タイトルのユーザーたちが一義的に求めているのは「そうではない」といえないだろうか(繰り返すが、その是非、善悪を論じているのではない)。
 むしろ、「お馴染みの世界」という素材を、新しい技術などを用いてどう上手に料理するか、が期待されているのではないか。

 そうであるなら、MEシリーズは、これまで比較的「お馴染みの世界」を踏襲してきたといえそうだ。ME3のエンディング騒動は、まずコンテンツのリーク騒ぎがあり、次に「ファンの声を聴く」というBioWare創業者自ら発していた「偽善」が暴かれただけのことで、商業上のダメージはかなり大きかったのだろうが、作品自体にケチがつく話ではない。
 もちろん、ケーシーはじめ、作り手側が大きく入れ替わったことは重大なリスク(コントロ―ラブルな危険)のひとつだろう。 

 だがそれよりも大きなデンジャー(コントロール困難な危険)は、「なんか新しいこと」を無理矢理ひねり出して、わけもわからず実装しようとすることにあると思うのだが、どうだろうか? DAしかり、これまでのFFしかり。

 MLはかつて、DA2は(大変評判が悪かったが)、「後になればきっと、DAOからDA2への様々な変更点は、将来を見据えた重要な繋ぎの役割を果たしていたことがわかる」というようなことをのたまっていた。
 はい、1000時間以上DAIプレイしました。まるでそんなことなかったでしょ? そんな発言したこと、本人さえも忘れてんだろう。
(当時GameSpotのレヴュアーだったケヴィンは、DA2について「DAOでうまく動いているものを何故わざわざ直す?」と批評したが、そういうレヴュアーは他にも大勢いた)

 あまりにコンサヴァな意見で、書いてる私も「うーん」と思ってしまうのだが、世の中がそうであるなら、商売上はやはり気にしないといけないはずだ。コンピューター・ゲームが、どれくらいの部分「アート」であるか私には分からないが、少なくとも100%そうではないことは間違いない。「工業製品」の部分があるはずなのだ。

 長年付き合ってきた「ファン」たちも、もう若くはないのだ。
 USのおっさん、おばさんたちは、今だって車の中で、イーグルスやカーペンターズを聴いているのである。工業製品いうなら(産業ロックと揶揄された)ボン・ジョビか。「アートがない」と批判していた渋谷●一他も、みんなどっかいっちゃったけどね(笑)。

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コメント

ワシはやっぱりEA戦犯説を主張していきます。そもそもあのジャンル別のシェアを語ってる時点で分かってないなと。ジャンルのパイの大きさは固定じゃないからシェアを語っても仕方ないと思いますし…。面白そうなゲームが出るならどんなジャンルであろうと飛びつくわけで。

EAの売りは、Frostbite(どうでもいい)とXBox時限独占とSWゲームの独占?なんせユーザーの信頼度がゼロ(いやマイナス)。そんなところと組んでも百害あって一利なし。だからこそBioWareがある程度自由にできてしまうのが問題ですよね。焼き直しを作ってくれという話がEAから出てこないのか、BioWareがそれを良しとしないのかは分かりませんが、歪な関係です。最先端のゲームを作りたいという開発者気質も分かりますが、泥船に乗ったんだからまずは売らなきゃ未来はないんですよね。

まあ、EAと組んでいる限りテンミリオンは絶対ないと思います。

むしろkickstarterで資金を募って開発するスタイルのほうが向いていたんじゃないかなあ…

 マーケMBAおそるべし、ですね。ヴィデオゲームがPackaged Consumer Goods (PCG;消費者向け包装消費財)、タイレノールとかレイズ・フリトスと同じ扱いですから。
 だいぶ前に書きましたが、BethesdaマーケはPCGあがりのMBAマーケ手法を全否定して、発売前は「とにかく面白そうなものを見せ続ける」、PRに徹しているそうです。どこかの密室主義、秘密主義とはえらい違い。
 
 EA側の問題を除けば、個人的にはBioWareには開発スキルが「欠けている」のもあると思います。アーティステイックなものを目指すとしても足腰が付いて行かない。それと家族主義の弊害で、作り手におっさんおばはんしかいない。買い手大多数とだいぶ遊離してきた。DA2あたりのロマンスから「ちょっとかびくせえ」と思ってました。そのくせやり口ちょいちょい変えるので往年のファンからは「何で変えんの?!」といらつかれる一方で、新しいファンやカジュアルからは「苔むしてしんきくせえ」と鼻をつままれる。結果全部失う(笑)。
 あと、カナダはど田舎なのでアメリカンの開発者が居つかない。南洋の小島でも開発できるなんて超スーパーエリート「プログラマー」だけの話で、横のネットワークが他業界よりも圧倒的に重要だと思う。開発スタジオが、みなカリフォーニアやボストンあたりに密集するのは決して「住みやすい」だけじゃないですから。

 詐欺師横行の歯止めがきかないKickstarterのことを個人的に認めていないのはともかく、AAAタイトルは無理ですね。AAAタイトルでなければならないのか、っちゅう大問題がありますが、「天下の」EA傘下ではそこは思考停止せざるをえないでしょう。

 いっそスパイクチュンあたりが買収しちゃえば?(円高なら!)

WoWの名前が出てきたこともあって、MMORPG時代のこと思い出しました。
私はWoWが出た後に、既に斜陽化にあったEQを5年半続けてる間に感じたことに通じるんですよねぇ。
当時のSoEはWoWに人がどんどん奪われていくのを恐れて、いろいろ考えるのですが、まぁ、それはまさに迷走。
WoWが始まる頃に頑張って出したエキスパンションはそこそこ評判はとったもののの、テーマが「神殺し」だから、その時点で命運は尽きていたと言っていいでしょう。

エキスパンションを乱発。
しかも、そのエキスパンションごとに、コンセプトもシステムもゲーム・バランスも違うんですよね。
プレイする方もその都度、新しい部分に戸惑い必死に学習して、ようやく慣れた頃に次のエキスパンションがリリース、その繰り返し。
これじゃプレイやコミュニケーションの楽しさどころじゃないわけで、カジュアルは加速的に離れていきますよw。
頼みの綱の復帰者だって浦島太郎状態で続けられるわけありません。
結局、開発・運営側がご機嫌とっていたのは、レイド・プレイヤー、コア・プレイヤーばかりということが露呈しただけでしたもの。
良識的で楽しい人から去っていく傾向があるので、続ける為だけにマナーやルール、モラルをどこかに置き忘れた人や廃Popが可能な生活環境を確保できる人の割合ばかりが大きくなっていく。
それでも、そこだけは逃がしたくないというデススパイラルにww。
ただカルト色が強くなっただけでは、挽回どころか数字の「改善」や「維持」は見込めません。

本格ソロ・ゲームとMMOの違いはあれ、残酷な現実は似てるような気がします。
ん~、やっぱBioとEAの関係は、痛し痒しだよなぁ。
EAの横槍で、DAシリーズの縦串の入れ方が怪しくなってしまった。


>一言二言でそのゲームを説明できるユニークさ

カジュアルの取り込みには絶対でしょうね。本能的な楽しさをアピールできることなのかなw。
ゲームがプレイヤーを選んでしまう要素もできるだけ避けたいとこかも。
それに加えて、バグ&グリッチ対策を含めた作りの「丁寧さ」も重要になってきてると思います。
ゲーム・プレイヤーは、理屈で分からなくとも肌で感じることもできるんですよww。

 ちょうどこんなネットの記事があったのでご参考までに。

http://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20160627-00002470-ted

 クヌート・ハーネスはノルウェイジャンでBCGのおっさんです。個人的に彼の意見にすべて賛同するわけではないが、当たり前のことを明確に伝える人のようです。
 企業が破たんする二つの理由。①今まで通りのことをやり続ける、② 新しい事に手を出し過ぎる。成功する秘訣。①と②のバランスをとる。それが難しいんだろうが!と言いたくなりますが、当たり前のように正論です。
 本当の理由一位は「トップなど関係者が不正をはたらく」だと思うんですけど、そこはおいておいて、という話ですね。

 MMOについて述べれば、ソロゲーと異なり「ネットワーク効果」が絶大なんすね。多数が遊んでいるMMOとそうでないものでは、参加者の利得があまりに違いすぎるんですね。(お友達をお金(課金)で買うなどと揶揄されますが、課金プレイヤー数という表面上の算術的な違いに留まらず、お友達のお友達というふうに指数関数的に増えていく)。さらに未参加プレイヤーが参入する際にも決定的に意味を持つ(正のネットワーク外部性)。プレイヤーの数が増えてもひとりあたり課金が下がらないのは、すべて運営側の「利得」となるので、実はここに問題が潜んでるんですけど、今は省略します。

 一言で言うと、「参加者数のみで勝負ついた」なんですね。(どうやれば最初に参加者が増え始めるかについては、デザイナー側のクリエイティヴィティが関与しうるのでしょうけど)
 だから「内容はいいのに過疎った」(DDOもですが)みたいなことは、ごく当たり前に起きる。そして過疎が始まったら一気に転落していきます。
(余談ですが、どこぞの島国がこれから経験する過疎問題そのものです。どこぞの大陸国のように戸籍で土地に縛りつけない限り、都市に住むことによるネットワーク効果(それによる便益)は圧倒的過ぎます。ネットやドローンで解決できる問題ではございません)

 過疎ってからクリエイティヴィティをようやく発揮し始めても、もはや手遅れ(えーと、MMOの話です)。MMOサブスクライバーは一般にイニシャルの数から増えない(時間とともに逓減し続ける)というのは間違いない事実で、デザインを頑張るなら、ローンチ前の開発段階とか、初期の段階(ベータとか)に賭けるしかない。勝負ははじまったときに終わってるんです。因果な商売だと思いますよ。

 ソロプレイの場合、直接的なネットワーク効果というよりも、Modコミュニティのような間接的・部分的な利得はあるにせよ、「良い評判になってるようだから」プレイしないと損(恥)、というゲーマーのバンドワゴン効果が働いてるんでしょうね。逆に「めちゃくちゃ評判悪いから」ヌーブかバカしかプレイしない。プレイは時間の損。自分がプレイしてるのが仲間にばれたら恥、となったのがDA2やME3だったのかも・・・。
 都市に喩えるなら(実際住みやすいかどうかしらないけど)やっぱ神戸や横浜が大人気で、女子は(いや、事実だから差別ではない)ねこもしゃくしも住みたがり、一方でださい(そこらへんにしとけや)

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